本を速く読む練習を始めた理由と、その方法
精読と速読の使い分けで、読書ペースを上げる試み
なぜ読書のペースを上げる必要があったのか
昔から本を精読するタイプだった。
一字一句を丁寧に追い、わからない表現があれば辞書を引き、翻訳書なら原文も確認する。 語と語の関係性や、著者の意図まで考えながら読むこともあった。 そうしてじっくり読み込み、内容を自分なりに咀嚼して形にすることに喜びを感じていたし、今でもそれに間違いはないと考えている。
しかし近年、読みたい本のリストは日々増え続けるのに、読書のペースがそれに追いつかないのだ。
本が溜まること自体はそれほど苦ではないが、「読みたいのに読めない」というストレスが溜まることはいかんとも我慢しがたい。 そこで考えたのは、すべての本を同じペースで読む必要はないということだ。
本には、一字一句までしっかり読み込みたくなる本もあれば、概要を掴めば十分という本もある。 重要なのは、その選別をある程度可能にすることだ。 ただし、「概要を掴めば十分」といっても、内容をまったく把握しなかったり、明後日の理解をしてしまうのでは意味がない。
私が目指すのは、速く読む本であっても内容はある程度把握し、頭にインデックスを貼っておける状態だ。 「あの本にはこんなことが書いてあった」と記憶に残り、必要なときに参照できる程度の理解は確保したい。
実践している速読・内容把握の方法
そこで、以下のような方法で練習を始めた。
1. 段落の最初と最後だけを読む
段落の冒頭と結尾には、その段落の要点が凝縮されていることが多い。まずはこの二箇所だけを読み、内容の輪郭を掴む。
2. 気になる内容なら、その段落を読む
冒頭と結尾を読んで「これは重要そうだ」「もう少し詳しく知りたい」と思った段落は、全体を読む。興味を引かれなければ飛ばす。
3. 参照したくなりそうな記述に付箋を貼る
読み進める中で、「後で見返すかもしれない」と感じた箇所には付箋を貼っておく。この時点では厳選しすぎず、気軽に付箋を使う。
4. 区切りの良いところ(章など)まで読む
この調子で、ひとまず章や節といった区切りまで読み進める。
5. 付箋を貼ったページを見返す
区切りまで読み終えたら、付箋を貼ったページを振り返る。改めて見て「やっぱり参照したい」と思う箇所だけを選別する。
6. 必要なら書き写す、不要なら付箋を剥がす
本当に参照したい記述は、ページ番号と一緒にObsidianに書き写す。そうでもなければ付箋を剥がす。 これにより、その時自分にとって重要な情報だけが手元に残る。
実際の成果
この方法で『科学と人間の不協和音』読んだところ、2時間で60ページほど読めた。 その上で、手元には今後参照したい記述(「科学の顔はどこを向いているのか」「鉄腕アトムと日本人の「科学」観」など)も手元に残っていて、どのような内容が書いてあったかも思い出しやすい。
精読していた頃と比べると、明らかにペースが上がっている。 その分、精度は確実に落ちてはいるのだが、章立てを見れば「あの本はこんな内容だったな」と思い出せる程度には把握できている。 この調子なら、同じようなペースでもう2~3回は読み返せば、さらに精度は上がるだろう。
実際、この本は一章の時点で「読み返したい」と思わせてくれる本だったので、おそらくそうする価値はある。 そういう判断ができたという点で、少なくとも今回の練習は成功だったと考える。
今後の展望
この調子で練習を続けていく予定だ。おそらく慣れてくれば、さらにペースは上がるだろうし、「この本はじっくり読むべきか、速く読むべきか」の判断も精度が上がるはずだ。
精読には精読の良さがある。しかし、すべての本を精読する必要はなさそうだ。 読書のスタイルを使い分けることで、もっと多くの本と出会えるようになることを期待している。